修善寺の本尊、大日如来像が虫食いなどの損傷がひどくなり、昭和59年に修復されることになった。
この仏像は鎌倉時代初期の承元4年(1210年)に作られた高さ1.3mの寄せ木づくりの座像で、
修復解体の折、運慶の高弟実慶の作と判明した。
仏像解体前、X線撮影により座像に底部に何かが入っていることが確認され、
解体してみたところ3束の髪の毛と経文が発見された。
完成以来一度も解体されたことのないことから、これらは仏像製作時に納められたものであると
判断され、この謎の黒髪をめぐって歴史論争が展開された。
北条政子か?源頼家か?頼家の妻辻殿か?諸説が入り乱れるなか、NHKは50分番組を組み、
現代科学を取り入れ解明を図った。
その結果、所有者はO型とB型の血液型であると判明、性別についてはほぼ女性のものと
断定されたことから頼家説は消え、政子か辻殿が二分されることとなった。
結局、結論のでないまま謎の黒髪は元どおり仏像の体内に納められることになった。
この修復により、仏像は半永久的に保存され、
次に解体修理が必要となるには1000年以上も先のこととなるそうである。
この間、黒髪は謎を秘めたまま再び深い眠りについた。
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